大型製品の寸法検査を自動化して効率UP!車載用リチウムイオンバッテリーの事例
はじめに
皆様こんにちは、中央電機計器製作所(以下CEW)です。
今回のブログでは、車載用リチウムイオンバッテリーの寸法検査を自動化、効率化することのメリットと事例についてご紹介いたします。
近年、GX(グリーントランスフォーメーション)推進が進む中で、電気自動車(EV)の普及が拡大し、リチウムイオンバッテリーの需要が高まってきています。リチウムイオンバッテリーの性能と安全性を確保するためには寸法検査が欠かせませんが、従来の手作業による検査では多くの時間とコストがかかり、ヒューマンエラーもつきものです。
寸法検査の自動化、効率化を行うメリットと導入事例を通じて、CEWがどのように貢献することが可能なのかご紹介いたします。ぜひ最後までご覧ください。
なお、本ブログは過去情報誌(※)に掲載された内容を要約したものとなります。詳しい内容にご興味のある方は、そちらも是非ご覧ください。
目次
1. リチウムイオンバッテリーの構造と環境への貢献
・基本構造と用途
・環境への貢献
2. リチウムイオンバッテリーの寸法検査の自動化と効率化の手法
・寸法検査の重要性
・寸法検査の課題
・寸法検査の自動化、効率化の手法
3. 弊社(CEW)のソリューションご紹介
4. まとめ
5. おわりに
リチウムイオンバッテリーの構造と環境への貢献
基本構造と用途
リチウムイオンバッテリーは、充電可能な電池の一種で、正極、負極、セパレーター(および電解液)の要素で構成されています。エネルギーは、リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで蓄えられ、供給されます。
特徴は、長寿命、高エネルギー密度、そして軽量かつコンパクトな点が挙げられます。スマートフォンやノートパソコン、電気自動車(EV)など、様々なデバイスなどで広く利用されています。
環境への貢献
近年ではGX推進の一環として、環境負荷を軽減させるためのクリーンエネルギー技術が求められています。
その中でも電気自動車(EV)の普及が重要な役割を果たしており、リチウムイオンバッテリーは電気自動車(EV)の主要電源として機能し、高いエネルギー密度と長寿命によって航続距離を延ばし、充電回数を減少させます。
これにより、化石燃料の使用を減らすことができ、再生可能エネルギーとして貢献が期待されています。
私たちの未来をよりクリーンで持続可能なものにするために、リチウムイオンバッテリーの進化とその役割はますます重要になってきています。
リチウムイオンバッテリーの寸法検査の自動化と効率化の手法
寸法検査の重要性
リチウムイオンバッテリーの性能と安全性を維持するためには寸法検査が不可欠です。
バッテリーの寸法が適切でない場合、機能不全などのトラブルが発生する恐れがあります。
自動化された寸法検査により設計通りに製造されているかを正確に確認でき、品質を保つことができます。
寸法検査の課題
リチウムイオンバッテリーは、正極、負極、セパレーター(および電解液)の要素で構成されています。
形状は円筒形、角型、ラミネート型があり、車載用では主に角型または円筒形が用いられます。これらは、細長く切断された要素を重ねて巻き上げ、ケースに封入するため、加工精度と位置合わせの精度が非常に重要になります。
特に活物質の塗布工程では、位置決め精度が重要です。塗布後のワークを測定し、ズレ量を計測して塗布機を微調整する必要があります。また正極と負極の面積や距離が容量や出力に直接影響を与えるため、電極を巻き取る際には加工ズレが拡大し、性能に影響を及ぼす可能性があります。さらに、小さい電極でも積層時の寸法誤差が蓄積することがあります。
これらの課題を解決するためには、寸法検査の自動化、効率化が求められています。
次のセクションでは、自動化、効率化を実現するための具体的な手法を2つご紹介いたします。
寸法検査の自動化、効率化の手法
1. カメラで対象物全体を撮影する手法
対象物全体を一度に撮影し、画像内の測定したい箇所を二点検出してその画素数から長さを算出する方法です。
この手法は小型の対象物には非常に有効ですが、対象物全体を視野に収める必要があるため、
車載用のリチウムイオンバッテリーのような大型の対象物には適していません。
2. カメラで一点を撮影し、移動機構で他の点も撮影する手法
対象物の一部分を撮影し、その後カメラや対象物を移動させて別の部分を撮影して、撮影した各点の位置座標、カメラまたは対象物の移動量の3つのデータを合算して長さを算出する方法です。
この手法は移動機構を用いるため、車載用のリチウムイオンバッテリーのような大型の対象物に適しています。
ただし、高精度な測定を実現するためには、画像処理と移動機構の誤差管理が重要で、メカトロニクスの知識が求められます。
リチウムイオンバッテリー製造においては、高精度かつ高速な寸法検査装置は欠かせません。
CEWではこのニーズに応えるために、GS-HB6040をベースにした特注の寸法検査装置を開発しました。
次のセクションで、この装置の特徴をふまえご紹介いたします。
弊社(CEW)のソリューションご紹介
車載用リチウムイオンバッテリーの寸法検査に最適な装置をご紹介いたします。
こちらは、長辺4mまで測定可能な超大型寸法自動測定装置です。
まとめ
以下は、本ブログの要点です。
-
リチウムイオンバッテリーの需要増加
・GX(グリーントランスフォーメーション)の推進に伴い、電気自動車(EV)の急成長が進み、環境負荷の軽減に貢献する重要なエネルギー源としての役割を果たしている。 -
高性能バッテリーの実現には
・新素材の採用と高度な設計、精密加工、組立が必要。
・加工精度を担保するための寸法測定が必須。 -
寸法検査の重要性
・塗布工程や電極の加工、積層時の位置決め精度が重要。
・生産量増加に伴い、自動化と効率化が求められる。 -
寸法検査の自動化の手法
① カメラで全体を撮影する手法
・小さい対象物には有効、車載用のリチウムイオンバッテリーには適していない。
② カメラや対象物を移動させて撮影する手法
・大型の対象物に有効で、車載用のリチウムイオンバッテリーにも適している。
・高精度な測定には画像処理とメカトロニクスの知識が必要。 -
CEWの提供するソリューション
・長辺4mまで測定可能な超大型寸法測定装置。
・位置決め精度(XYステージ)は、フルストロークで±20um。
・測長精度(カメラ・画像処理を含む)は、フルストロークで±100um。
・リニアモーター採用によりボールねじよりも測定時間の短縮、異物混入のリスクも低減。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
電気自動車(EV)の普及に伴い、リチウムイオンバッテリーの重要性が高まっています。高品質なバッテリーの生産には寸法検査の自動化、効率化が不可欠です。
弊社は、GS-HB6040やGS-HLS40045などの寸法検査装置を提供し、品質向上を支援しています。またGXやDX推進の取り組みとして、検査工程の自動化や効率化でお困りのお客様は、お気軽にご相談ください。(問い合わせフォームはこちら)
次回は「コンベックスの置き換えに最適なワンショット寸法測定装置」についてご紹介いたします。お楽しみに!
・寸法検査の事例集(卓上・カスタム):
①事例集《 卓上型 寸法自動測定装置 SmartEdge GS-HB6040 》 | 中央電機計器製作所(寸法自動測定装置・計測システム等の開発・製造) (e-cew.co.jp)
②事例集《 カスタマイズ対応 寸法自動測定装置 SmartEdgeシリーズ 》 | 中央電機計器製作所(寸法自動測定装置・計測システム等の開発・製造) (e-cew.co.jp)
※本ブログの原文はこちらです。実際の記事にご興味がある方は是非ご覧ください!
掲載情報:有限会社アクトライエム『WEB Journal(ウェブジャーナル)』2023年2月号フィルム・不織布・紙の製品検索サイト「WEB Journal」:https://www.webj.co.jp/webjournal/
当社HP内お知らせ(記事原文):https://www.e-cew.co.jp/20230426-2/
※本ブログのシリーズ
・第1弾:寸法検査、外観検査の自動化(効率化)の手法!AI活用時のポイントも交えてご紹介!