【新技術】AIによる画像処理(物体検出)のご紹介
はじめに
弊社では、従来のルールベースによる画像処理を使用したシステムに加え、AIを活用したシステムの開発にも取り組んでおります。
そこで、今回はAIを活用した画像処理について紹介したいと思います。
AIとは?
AIは『人間の知的行動を代替してくれるソフトウェア』のようなものです。
例えば、カメラに何が映っているか識別するAI、テキストを翻訳するAI、絵を生成するAIなどが存在します。
最近ですと、『Midjourney』・『Stable Diffusion』・『NovelAI』などの画像生成AIが話題になっていますね。
今回紹介する画像処理AIは、画像データの特徴を抽出しワークの良品判定などを行うAIです。
画像処理AIの種類
一言に“画像処理AI”といっても、“画像認識(画像分類)”・“物体検出”・“異常検知”などの種類があります。
“画像認識(画像分類)”は与えられた画像がどんな画像なのかを判定します。ワークの分類やOK/NGの判定などに利用できますが、画像内に複数のワークが存在する状況には不向きです。
“物体検出”は画像に写っている物体を検出します。分類だけではなく、位置(座標)も取得できるのが特徴で、1画像内に複数のワークがあったとしても検出できます。
“異常検知”はNG箇所を検出します。画像認識でOK/NG判定をしたい場合、AIの学習のためにOK画像とNG画像を集める必要がありますが、異常検知は画像認識と違い、OK画像のみでAIの学習が可能です。
画像認識の例。画像1枚に対し、OK/NGの判定をしている。
物体検出の例。画像中のどこに何があるかを示している。
異常検知の例。異常個所を示している。
弊社では主に画像認識と物体検出を使用しておりますが、今回は物体検出についてご紹介したいと思います。
*画像認識については過去に記事にまとめておりますので、こちらをご覧ください。
【製品情報/当社HP】:「AI外観検査システム」― AIを活用した外観検査システム開発
物体検出AIのモデル作成手順
まず初めに、物体検出AIのモデル作成手順をご紹介します。AIのモデル作成の手順は大きく分けて以下の通りになります。
① 画像の用意
② アノテーション
③ 学習
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
① 画像の用意
AIを作成するためには、検出させたい物体が映っている画像を用意する必要があります。十数枚程度でもモデルの作成は可能ですが、画像を大量に用意したほうが精度は向上します。
使用する画像の内の1枚。今回はDサブコネクタで試します。
② アノテーション
アノテーションとは、AIが学習に使うためのデータを作る作業のことです。
物体検出用のアノテーションではAIに学習させたい物体を四角で囲っていきます。
コネクタをひとつひとつ囲っていきます。
物体検出モデル作成において、この作業が一番大変です。
③ 学習
アノテーションが完了すれば、いよいよ学習です。
といっても、パラメータを設定して学習を開始すれば、あとは学習が終わるのを待つだけです。
学習中です。学習が進むにつれて精度が上がっていきます。
学習が完了すれば、AIモデルは完成です。それでは、物体検出を実行してみましょう。
物体検出を実行してみる
コネクタをたくさん置いて試してみましょう。
ちゃんと検出できていますね。また、個数のカウントもできています。
画像1枚につき、たったの約0.04秒で検出が完了します。(GPUはRTX3070 Laptopを使用)
その他のモデルの例
画像を用意してアノテーションさえすれば、様々なモデルを作成することができます。
以下はフィルムの外観検査モデルです。欠陥の種類ごとにクラス分けしてアノテーションしたので、検出時にも欠陥の種類が判別できます。
グー/チョキ/パーを検出するモデルです。
まとめ
画像処理AIの種類と物体検出モデルの作成方法を紹介しました。
AIはルールベースの画像処理に比べ、以下の3点のような優位性があります。
AIでは、ルールベースの画像処理のように複雑なパラメータ設定をする必要がなく、画像を用意できればモデルを作成できます。
また、ルールベースでは検出できないような複雑な形状のワークも検出できます。
さらには、ルールベースではそれぞれ異なる画像処理ソフトウェアを作らなければなりませんが、AIなら同一ソフトウェアでモデルを変えるだけで対応が可能です。
弊社ではAIを活用した外観検査や個数カウントのシステムも開発しておりますので、この技術を活用してこんな事がしたいんだけど…といったご相談、ご質問等がございましたら、下記お問合せフォームまたはお電話にて、
ご遠慮なくお問い合わせください。
お問合せフォーム(クリック)
それでは次回のブログもお楽しみに!